ハロウィンの光と影

ハロウィンを控えた先週末(10月29日)、韓国ソウルの繁華街・梨泰院で想像を絶する人々が押し寄せ、群衆雪崩が発生し、たいへん痛ましい事故が起きました。亡くなられた方のご冥福を祈るとともに、被害にあわれた皆さまにお見舞い申し上げます。

ハロウィンはアイルランドが発祥で、もともとは収穫を感謝し、先祖をしのび、悪魔を追い払う、というお祭りだったそうです。それがイギリスをはじめ元英国植民地など英語圏で広まり、特にアメリカでは年中行事の中でも大きな位置を占めているほど盛大に行われ、日本へはアメリカから伝わったとされています。

日本では、始めは民間の英会話教室や子ども・若者向け商業施設でハロウィンの雰囲気を味わってもらうささやかなディスプレイから始まり、20世紀末あたりになると大規模テーマパークでもイベントが開催されるようになったのだとか。

ですが現在のハロウィン、東京・渋谷のような繁華街に仮装というよりコスプレをした人々が集まり、ハイテンションになり、群衆心理もあいまって、暴挙、事故を引き起こしてしまう、うっかりすると無法地帯の一歩手前状態になってしまうのです。

純粋にハロウィンを楽しむために来ている人も多いはずなのに。警察が警備にあたっているとはいえ、度を越したストレス解消やフラストレーションのはけ口になっているように見えてしまいます。また、渋谷以外にもハロウィンにからむトラブルが発生するようになり、メディアのニュース映像を見ていると本来のハロウィンからずいぶんかけ離れてしまったように感じ、複雑な気持ちになりました。

さて、もう20年近く前の話になりますが、我が家は家族で「うつのみや子ども劇場」の会員でした。子ども劇場では年に数回の観劇のほかに、自主活動としてダンボールキャンプ、スノーキャンプ、忍者修行、水鉄砲バトル、ナイトハイク、人間かるた大会など、個人ではとても実現不可能なイベントがありました。ハロウィンもそのひとつです。

うちの子が小学校4年生の時のことだったか、会員以外のお友だちを誘ってもよいということで、当時仲良くしていた同級生3人を誘い、4人の子どもたちを連れてハロウィンに参加しました。ハロウィンに申し込んだその日から、友だち同士で、「どんな仮装する?」「お菓子を入れる袋はどうしよう」「トリック・オア・トリートって言うの、忘れちゃダメだよ」と大はしゃぎでした。さっそく学校でもハロウィンに行くことを話したそうで、ALTのクリスティーナ先生(たぶんこういう名前だった)から「初めにハッピー・ハロウィンて言うのよ」と教わったと得意げに話してくれました。

ハロウィン当日は寒かったけれど子どもたちは寒さなんてなんのその。その時のスケジュールは、開会宣言→仮装のお披露目ファッションショー→かぼちゃのクッキーやカップケーキでおやつ→グループに分かれてお宅訪問。だったと思います。

当時の子どもたちにとってハロウィンは知ってはいたけれど、どこか遠くでやっているイベントという感覚でした。それが実際に体験することになって、子どもたちは絵本やアメリカのホームドラマの主人公になった気分だったようで、夢のように楽しい時間だったそうです。まさに「とびきりの子ども時代を!」という子ども劇場の合言葉そのものでした。

こういうハロウィンが私は好きです。もう子ども劇場は卒業してしまいましたが、いつか機会があったら本来の意味のハロウィンに参加したいと思っています。

(ハンドルネーム Iris)

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