心に太陽を持て

心に太陽を持て。
あらしが ふこうと、
ふぶきが こようと、
天には黒くも、
地には争いが絶えなかろうと、
いつも、心に太陽を持て。

くちびるに歌を持て、
軽く、ほがらかに。
自分のつとめ、
自分のくらしに、
よしや苦労が絶えなかろうと、
いつも、くちびるに歌を持て。

苦しんでいる人、
なやんでいる人には、
こう、はげましてやろう。
 「勇気を失うな。
  くちびるに歌を持て。
  心に太陽を持て。」
(作:ツェーザル・フライシュレン 1864-1920 ドイツ)
(訳:山本有三 1887-1974)

「心に太陽を持て」という詩は、栃木市周辺ではわりとよく知られています。

もともとは、ヘルマン・ヘッセやエーリッヒ・ケストナーの小説の訳で有名なドイツ文学者、高橋健二(1902-1998)がドイツに留学中、ドイツの家庭でこの詩が壁に掲げられているのを見て心を動かされ、日本へ持ち帰ったと言われています。日本で言えば、昭和の時代のお茶の間に飾られていた、宮沢賢治の「雨ニモマケズ 風ニモマケズ」のような感じでしょうか。 

それが栃木市出身の作家で児童文学者・山本有三(代表作は路傍の石)が企画した子ども向けの読み物「日本少国民文庫」に、掲載されました。のちに、山本有三自身によって親しみやすい言葉で訳しなおされたものが、広く世の中に紹介された、という経緯があります。
その縁で栃木市では過去に、この題名の市民参加ミュージカルも上演されています。

苦境に立たされ、耐え忍び奮励努力している人に、さらに「頑張れ」というのは、よけい嫌な思いをさせてしまうでしょう。

この詩はよく、「人を励まし、勇気を与えてくれる、気持ちの持ちようの大切さをよびかけてくれる」詩と言われています。何より、力強さが伝わってきます。

そして、「どんなときでも希望を持って」「前向きに生きていれば、きっと明るい未来が拓ける」とエールを送ってくれているように感じます。

「心に太陽を持て」を座右の銘としている人も多いそうですが、頷けるのではないでしょうか。

栃木駅の構内(JR両毛線・東武鉄道日光線)に掲げられたモニュメント

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